1960年代にザスロウ(当時カリフォルニア州立サンヨセフ大学教授)によって創始された心理技法です。日本へは1980年代に、前日本抱っこ法協会会長の阿部秀雄さんによって紹介されました。
幼い頃から泣くのを我慢してきた親にとって、自分の子供が泣いたり怒ったりすると、封じこめてきた感情が刺激され、子供の感情を抑え止めようとします。抑圧された子供の感情は奥に押し込められ、本当の気持ちがわからなくなり、何を言っても駄々こねがやまなかったり、無理難題、あらぬ要求をしてきたりします。「我慢」は赤ちゃんの時、もしくは胎児の時からすでに始まっているのです。
抱っこセラピーでは、表面に現れた行動の奥にある子供の隠された気持ちに触れていき、その気持ちを受け止めていくことによって、感情解放を促し、本来の情緒の安定、意欲、成長力などを回復していくサポートを行います。
抱っこセラピーの基本的原理は「泣いていい」です。第2の原理は「泣けなくなると苦しくなる」です。泣きたいのに泣けなくなった時、訴えたいのに訴えられなくなるとき、そんな時の心理は、すねている時の心理と同じです。感情を解き放ちたいのに「心の歯止め」がかかってしまった状態だと、泣くに泣けなくなり苦しくなります。歯止め(抑制)をはずして、再び泣けるようにサポートしてあげると心の傷は癒され、心に本来の青空が戻り、笑顔になっていきます。
胎児の時や出世時のトラウマも癒すことができ、落ち着きを取り戻したり、親と子、双方に大きな癒しが起こります。気持ちが通じ合い、愛の絆がさらに深まっていく素晴らしいセラピーです。
心の奥にある本音の本音を知る
大人同士でも、相手に不満や言えない気持ちを抱えていると、相手を避けたり目を合わせなかったり、「さわらないでよ!」という気持ちになります。それは赤ちゃんも子供も同じなのです。不満の奥の本音の本音を知り、その気持ちに寄り添ってあげることで、「本当は大好き」な気持ちに戻れるのです。
ふれさせない、抱っこを嫌がる、おっぱいを飲まない
かじる、たたく、暴言をはく
人の嫌がることばかりする
手のかからないいい子、おとなしい子、ずっとひとりで遊んでいる
などなど…
心の奥の本音の本音は、こんなふうに叫んでいます。
これは子供も大人も同じです。
もっとかまってほしい
私だけ見てほしい
話を最後まで聞いてほしい
否定しないで、怒らないで
責めないで
私はどうせダメなんだ、愛されてないんだ
淋しい、ひとりは嫌だ
そんな子供心にそっと寄り添い、ありのまま無条件に受け止め、感情を解放していきます。解放されてからやっと、「愛されている」いう気持ちを潜在意識レベルで受け取れるのです。
抱っこセラピーを受けると
以下のような効果があります。
・子供の問題行動が減った
・夜泣きが少なくなった
・自分の気持ちを表現できるようになった
・おっぱいの長飲みがなくなった
・友達と仲良く遊べるようになった
・体調がよくなった
・情緒が安定してきた など…
お母さんの感情も癒され、お子様との絆が深まり、いとおしく愛情をさらに感じられるようになっていきます。
抱っこセラピーの流れ
感情は何層にもなっています。上の層にあるのが怒り、次が悲しみ、そして淋しさ…。淋しさの感情は深いのです。
抱っこセラピーを行うと、まず上の層の「怒り」が出てきて暴れたり嫌がったり逃げたりします。赤ちゃんの場合は怒り泣きをします。その感情が通り過ぎると、今度は泣けてきて、赤ちゃんの場合は怒り泣きとは違う、「悲しい」という泣き方に変わります。その感情が通り過ぎると、淋しい、訴えるような甘え泣きに変わっていきます。この段階から、最初は目が合わなかったのがだんだん目が合うようになり、心と心が通じ合う感覚になっていきます。
抱っこセラピーのプロセス
子供を横抱きにし、目と目を合わせるよう、子供の目線を追いかけます。その時、歯止めのかかった感情を抱えていると、目は合いません。最近の気になる出来事、我慢してそうな気持ちを言葉かけし、それが当たっている場合、以下のプロセスが起こります。
1.逃げる、嫌がる、暴れるという避ける段階
2.怒りの段階
3.悲しみ、甘え、訴えの段階
4.和解(目が合うようになる)
言葉かけのポイントは、「気持ちに寄りそう言葉」ということ。
例えば、泣けない子に「泣いてもいいよ」と言うよりも
「泣けなくてつらかったね」の方が、わかってくれた、という気持ちが満たされ
深い感情の解放が起こります。
抱っこセラピーを受けると、本来の気持ちが出やすくなり、一時赤ちゃん返りをしたり幼くなったりします。特にいい子できた子は、感情が出やすくなったり、今までできたことができなくなったり、甘えてきたりしますが、そんな気持ちも受け止めてあげることが大切です。だんだんと、受け止めてもらえる、わかってくれる、という安心感が築かれることで、本来の素直さ、パワー、やさしさが戻ってくるのです。