Every day I listen to my heart

    本来の自分を取り戻すストーリー    by Mami Nishitani
| TOP | 癒しの3ステップ >>

再誕生

2006.05.13 Saturday | バーストラウマ(出産時のトラウマ)

「では、お腹に深くいれたリラックスした速めの口呼吸をしてください。」
そういうと、彼はリズミカルな呼吸を始めた。
「はっはっはっはっはっ…」

まもなく、手足や顔がしびれ、指先は硬直し曲り、体は寒さで震えてくる。
部屋は決して寒い温度ではない。
「寒い、寒いよ…」
クッションにそう叫んでもらうと、今度は「寒い」から「淋しい」に感情が変化していった。
寒さは孤独感や淋しさの感情。
彼の出産時、お母さんからすぐ離され新生児室に入れられた時の感情を思い出した。
まずは体が、そして胸の深いところから声にならない嗚咽が溢れるかのように、涙と共に感情がこみ上げてくる。

「お母さん、お母さーん」
「どこに行ったの?」
「どうして来てくれないの?」
「僕がダメだから?」
「僕を見捨てたの?」

叫んでも来てくれない無力感。
「どーせ」という思い。
満たされない気持ち。
ぬくもりを求め、けれど得られぬ淋しさ…。

それらの感情をクッションに叫び、時に汗だくになりながら、引いては満ちる感情の波を何度も味わい、彼は少しづつ治まっていった。

感情の波が引いて初めて、彼の心の深いところには「僕は愛されてない」という頑なな思い込みがあることに気づいた。その思い込み・信念が、今までの人生において、恋愛や結婚、人間関係、体調などに大きく表われていたことに気づいた。

いつも自信がなかった。
自分はダメだと思っていた。
何事も永続きしなかった。
ずっと孤独だった。
淋しかった。
拒絶されるのを恐れていた。
でも愛されたかった。
もっと甘えたかった。
受け入れてほしかった。
わかってほしかった…。
ずっとずっと苦しかった…。

静かな涙と、深い大きな溜め息をひとつ吐き、ゆっくりと、「僕は愛されてない」という否定的信念が解放されていく。そして、不思議と愛された記憶が甦ってきた。

彼が生まれた時、お母さんは嬉しそうだったこと。
オムツを替えたり、抱っこしたり、お風呂に入れてくれたこと。
手作りの布バッグや服を作ってくれたこと。
お弁当を作ってくれたこと。
病気の時、看病してくれたこと…。

「僕は本当はずっと愛されてたんだ!」
「お母さんありがとう。生んでくれてありがとう。」

「真実」を心の深いところで受け取れた時、春の息吹を感じるかのように、人は新しく生まれ変わる。そんな時、私は意識の再誕生をサポートするお産婆になったかのような、新しい誕生の喜びの中に包まれる。

このセッションのあと、彼は深いところからのゆるぎない安心と平安を感じているのだそうだ。時々ふと不安が出てくることがあっても、愛された時のことを思い出し、すぐまたもとの安心・安全な気持ちに戻れると言う。記憶のゆがみで人はネガティブな出来事の方をよく覚えているクセがあることを知り、古い自分のエゴのパターンに巻き込まれなくなったと言う。根っこを癒せば、表面に表われるすべてがより幸せな方向へと変化していくことに驚いている。


一度のセッションでここまで解放されるのは稀れなケースが多いのが事実です。特に男性の場合、「男だろ、強くなければ、男は泣いてはいけない、弱音を吐くな、お兄ちゃんでしょ」などとずっと言われてきたため、感情を感じられるようになるまで時間がかかる方が多いのです。でも、あきらめずに日々感じる練習をしていくと、ある日フタがあき、大きな解放が起きてきます。また、否定的信念は何層にもなっていて根強いものがあるため、出てきては解放し真実を受け取り、また出てきては解放し真実を受け取る、を何度も繰り返していくことにより、少しづつ現実が幸せな方向へと変化していきます。ひとりひとりプロセスがあり、焦らないことです。プロセスを楽しみ、自分の変化・成長を自分自身が温かく見守るつもりで日々過ごすことがコツだといえるでしょう。人は自分自身を責め否定するのは得意ですが、認めたり褒めたりするのはとても苦手です。自分にやさしくできるのは自分自身、自分を大切にできるのは自分自身、認めてあげられるのも自分自身です。自分が自分を喜ばせ大切にしてあげた分だけ、まわりの人があなたを大切に愛してくれるようになるのです。
author : Mami Nishitani | - | -